ガラスの歴史  ローマンガラス

古代メソポタミアの時代から始まったガラスの歴史。キャスティング(鋳造)やコアガラスと呼ばれるメソポタミアの技法は現代でも使われていますが、ひとつづつガラス芯や鋳造型を作る為、時間がかかり高価なものでした。しかし紀元前1世紀のローマ帝国時代、吹きガラスの技法が発明され、ガラスの歴史は一変します。

現代では、ひとつづつ成形する吹きガラスは、工場で大量に生産できる成型ガラスから比べると手間のかかる製造方法で、とても高価なものですがローマ帝国時代では、画期的な方法だったのでしょう。鋳造やコアガラス技法で製作する際にかかっていた時間は大幅に短縮され大量生産が可能になり、低価格を実現。ごくわずかな裕福な人達しか持てなかったガラス器が一般庶民の器として広がり、日常的につかえるようになったのです。器だけでなく皿や瓶、鉢、置物、窓ガラス、ランプなどにも応用され、これらの品は交易品として世界各地に広がっていきました。

こうなると産業だけでなく、芸術としても発展します。ローマ帝国以前のプトレマイオス朝時代で生まれたミルフィオリなどを受継ぎ、新たに生まれた様々な装飾技法とともにこのローマ帝国時代で進化していきました。

一方、日本では古墳時代にこのローマンガラスなどが伝わったとされています。そしてファンの多いヴェネチアンガラスは、これらを受け継ぎながらうまれ、7世紀前半には中近東一帯を皮切りにイスラム文化圏で、エナメル彩や金彩など美しい装飾技術で高度な発展をとげます。

しかし、これだけ発展を遂げたにもかかわらず、古代からのガラス技法は今も受継がれています。大量生産ができないだけに一般で目にすることはほとんどありませんが、それぞれの技法でしか表現できないものがあり、それに魅了されたコアなファンも多いようですよ。私もその一人です(^^)v

Cirkusbæger-fra-Varpelev DO-2608 original

172/1000