月別アーカイブ: 2017年11月

彫刻:社名の英語表記について

ビジネスギフトでは先様の社名を彫刻しています。おそらくご依頼の8割がたになると思います。そしてその3割ぐらいでしょうか、英文表記されていらっしゃいます。まだ少なめとはいえ、英文表記を希望される方はどんどん増えているなか、先方の社名(中には自社名も含め)の表記をどのようにするか、悩まれる方も少なくないのです。

例えば建設会社では大成建設さん(Taisei CorpolationConstruction)のようにを英語表記に入れない会社と東急建設さん(Tokyu Construction Co., Ltd.)のような入れない会社があります。また、日本で株式会社を設立すると商号に「株式会社」を入れる必要がありますが、その英語表記はいくつかの種類があり、社名や商号は、単純に英訳できないためです。

HPを持っている会社で英文表記をされている会社は増えてきており、ネットを検索して調べられるものに関しては問題ないですね。ネットや直接伺うなどで調べることができない場合は、社名を勝手に翻訳しないほうが良さそうです。

ちなみに、株式会社を英語にした場合の表記は5種類ほど

  • Co., Ltd./Co. Ltd./COMPANY, LIMITED

    株式会社(Company Limited=有限責任の会社)を略して表記したものです。Co.のあとのカンマ「,」は、必要ないものなのでCo. Ltd.で問題ありません(英国では「,」を入れることはないようです)。とはいえ、日本ではこの表記にされている会社の8~9割の会社では「,」が入っているようなので、心配なところですね。最近では「,」を入れない傾向にあるので、確認できるようであれば、できる限り確認してみてくださいね。また、CoとLtdの間にはスペースが必要となります。

    MITSUBISHI UFJ SECURITIES CO., LTD. 三菱UFJ証券株式会社
    COSMO OIL COMPANY, LIMITED コスモ石油株式会社
    MITSUI FUDOSAN CO., LTD. 三井不動産株式会社

  • Ltd.
    有限責任の英語 Limitedの略です。イギリスの会社の場合、“Limited” を入れなければ登記申請ができないのですべての会社に入っており、この表記だとイギリスの会社であると推測できそうです。アメリカでは、Inc.よりも小さい事業体に使われる傾向にあるようです。
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    ASAHI BREWERIES, LTD. アサヒビール株式会社
    ELMO COMPANY,LIMITED 株式会社エルモ社
    CENTRALAUTOMOTIVE PRODUCTS LTD. 中央自動車工業株式会社
    CYBER AGENT. LTD. 株式会社サイバーエージェント
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  • Inc./Inc.,
    Co. Ltd.と同じく株式会社を意味するIncorporatedの略です。アメリカで特に大きな事業体で使用される表記です。日本の会社では、Incの前に「,」をつける会社も多いですが、アメリカの会社では比較的少ないようです。
    ちなみに英国登記の有限責任の会社では社名の中に Limited を入れなければなりません。 そのため、「Inc.」 を使うには「Inc. Ltd.」 となります。
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    Amazon.com, Inc. アマゾン
    HAKUHODO Inc., 博報堂株式会社
    AJINOMOTO CO., INC. 味の素株式会社
    THE KANSAI ELECTRIC POWER COMPANY, INCORPORATED 関西電力株式会社
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  • Corp./Corp.,/CORPRATION
    Corporationの略で、略さずにCORPRATIONと表記する会社も多くみられます。
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    TOYOTA MOTOR CORPORATION トヨタ自動車株式会社
    THANKS JAPAN CORP サンクスジャパン株式会社
    TELEPARK CORP. 株式会社テレパーク
    KINTETSU CORPORATION. 近畿日本鉄道株式会社
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  • KK.
    日本語の株式会社(カブシキガイシャ)のローマ字読みの略です。株式会社と理解できない外人が見た場合にK.K.が意味するところが分からない場合があり、海外で事業展開する場合にはCo. Ltd.やInc.などを使用したほうが良さそうです。
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    Nippon Yusen Kabushiki Kaisha 日本郵船株式会社
    TOYO KANETSU K.K. トーヨーカネツ株式会社
    NIPPON CHUZO.K.K. 日本鋳造株式会社

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ガラスは重い?比重は

ガラスを削る際、片手で持ちあげ、もう一方の手で砂を吹き付けていきます。写真のようにグラスや小さなものだとなんていうことはないのですが、ガラスのオブジェや少し大きめの時計になると大変です。

オブジェやプレートは約1キロ~、ちょっとした時計になると2キロ以上にもなります。それを延々彫っているわけですから手首に負担がかかるわけです。

ガラス製品を仕入れた段ボールを運ぶときも腰にきます(笑)
そんななので、ガラスは非常に重いように感じてしまうのですが、それは私だけではないようです。
ここで質問

水、松、大理石、金,プラスティック、ガラス、アルミ、鉄、鉛
で一番重いものと軽いものは?

ご存知の通り一番重いのは金です。
そして、軽いのは木(松)

比重でいくと
松 0.6
水 0.9
プラスティック 1~1.2
ガラス  2.5~2.7
大理石 2.7
アルミ 2.7
鉄 7.8
鉛 11.4
金 19.3

ガラスの比重を話すと、アルミとガラスがほぼ同じ比重にびっくりされることもあるのですが、それは恐らくジュースや缶詰などの缶や鍋などの軽いイメージがついているかなのでしょう。ガラスは他のものに比べ強度が高くないため、どうしても製品に厚みが出るからです。
ただ、それでも薄造りのガラスは、飲み物の味を損なわずおいしくいただけるということで、よく出回っていますね。

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「お誕生日」、それとも「ご誕生日」?

今日はお問い合わせから

『取引先の専務さんへのお誕生日のお祝いに贈るのに「お誕生日」とするのか「ご誕生日」とするべきなのでしょうか。(後略)』。内容から彫刻するメッセージは英語に決定しましたが、メッセージカードでは日本語で印字したいとのこと。

誕生日については、「お誕生日」でも「ご誕生日」のどちらもありますし、「御誕生日」とすればどちらの読みでも対応は可能です
ですが、やはりここは意味合いを知って使いたいものですよね。

そこで調べてみましたところ、「お」と「ご」を使い分ける単語は「返事」などほかにもいくつかあるようです。
また「ご」をつけるのは漢語(中国から伝わってきて日本語になった言葉)で、「お」をつけるのは和語(日本古来の言葉)というルールがあるとのこと。詳しくは、ほどよい敬語の使い方~「ご返事?お返事?」、「お」と「ご」どちらを付ける?でどうぞ。

こちらの前田めぐるさんが運営するほどよい敬語の使い方サイトには、とても参考になる敬語の記事が盛りだくさんです。よくお問い合わせいただく敬語についてのご質問はほぼこちらのサイトで解決できそうです。感謝

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自由の本質:マティス 枠の中の表現より

私たちが手掛けているガラス彫刻工芸では平面のものをより立体的に見せるため作家が
日々研鑽し様々な技法をあみだしてます。立体的に見えると、そのものの世界観までつかみやすいですね。

学生時代の美術の授業では絵は遠近感を出すよう教えられ、その技法として遠くのものを小さく描き、色調では青系で手前を黄系にあわせるよう教えられてきました。浮世絵のような二元的になると、ここは小さく描いたほうがいいなどと指摘されたものです。そうすると絵が途端にうまく見えるのですよね。もちろん、視点が定まってそこから遠近感をだす必要はあります。視点が定まってない遠近感は逆に違和感が出て、それこそ異空間に入ったようになってしまいます(^_^)

ところが、色彩の魔術師であるアンリ・マティスは多くの素晴らしい絵とは全く逆の手法をとるのです。マティスは、印象派やフォービズム、キュビズムと様々な表現や内省的感情の表出(?と言ってよいものか)してきました。その中でとても印象的なのは、絵であるという枠にこだわった表現方法です。二面の中に表現するのだから三次元的に見えないものというこだわりでの手法をとります。

この「キヅタの花」は遠近感の手法を全く逆にしていることで平面的に見えます。もちろん、それだけの単純なものではないけれど、一般的な(と言っていいものかはわかりませんが)常識を簡単に覆しています。

平面の絵の中の表現と言う枠の中に捉われているようで実は一般的な常識からは外れている。枠の考え方もいろいろですね。考えるべきは、枠があることではなく、制限など何かに捉われているかどうかということなのかもしれません。制限に捉われるのでなく制限を活用する。これが自由の本質と感じずにはいられないのです。

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クラブチャンピオン 記念品にだるまグラス

クラブチャンピオンの記念品にご依頼いただきました。
ピジョンゴルフさん経由でのご依頼です)

おめでとうございます!!

だるまグラス

だるまがお好きだということでだるまのデザイン。
少々愛嬌のあるだるまになったのは、ご指示いただいたラフでもかわいらしくて、手に取った方にほっこりしてもらえるようなものにしたかったそうなのです。そのお気持ち、素敵です!ということで、だるまといえば「への字」の口元をニッコリと微笑ませ、瞳に光も入れました。

製作中、ほっこりさせていただきました(^^)

23/1000

成せばなる 成さねばならぬ何事も -上杉鷹山-

江戸中期、17歳の若さで婿入りしていた莫大な借金を抱えた瀕死の米沢藩を継ぎ、藩を立て直し、借金を返済し、名産まで作ったという上杉鷹山

鷹山の名前は知らなくても鷹山の言葉「してみせて、言って聞かせて、させてみる」とか「成せばなる 成さねばならぬ何事も 成らぬは人の 情けなりけり」はご存じなのではないでしょうか
あのケネディが最も尊敬する日本の政治家といっていたそうです。

その鷹山の話を読んでいて、鷹山が藩を立て直す前に自分で取り決めしていたことが紹介されていました。自分を律するため、自分だけのために書いたとされる「受けつぎて国の司の身となれば忘るまじきは民の父母」。誰に見せるでもなく、自分を律するためだけに、まだ十代の若き藩主が書いたんです。あまりに遠すぎで、私の気が遠くなりそうです。

この話を読んでいて、志を持つことの意義を思い出させてくれたようでした。

ガラスが好きで、ガラスアートの世界に趣味で入り、趣味ではお金がかかるからと仕事にし、、、そんな胸を張って言えることが何一つないスタートでしたが、ギフトに携わり、多くの人の笑顔に触れていくうちに、ささやかでも社会に笑顔の貢献ができるのではと思うようになりました。私には子供がいません。親の気持ちには足りないかもしれませんが、子供はこの世で最高の宝だと思ってます。なので、子供が健やかに笑顔で過ごせる世の中であってほしいと心から願ってます。
そんな世の中は、大人にゆだねられてます。でもみんな仕事で疲れ、心まで疲弊していて、元気がない。心からの笑顔は人が人を思うときに生まれます。
そのきっかけの一つがギフトになるように思ってます。
人の心を豊かにする一言が「ありがとう」「おめでとう」だから

 

22/1000

応為(おーい)

名前はとても大切。毎日、お名前を彫っていると、よりその思いは強くなります。名前が入っていることで、喜ばれ方が変るんですよね。だから、ありとあらゆるものにな入れサービスが生まれてきているのだと思います。

それほど大切な名前ですが、安易につけられちゃった名前も結構あるようです。ちなみに私の名前は「由香」ですが、父が自分の名前から一文字とってつけようとした名前をあまりにもダサいと感じてしまった母が、あわてて当時はやってた名前につけかえたものなのです(^_^;;)
そのつけ方のほうがダサい?かも(笑)

閑話休題

私の本名の話ではなく、後世に残る画号が安易過ぎちゃったかも?な方がありました。

本名は お栄(阿栄)

お栄の父は、冨嶽三十六景など天才的な作品を遺した江戸時代後期の浮世絵師 葛飾北斎。お栄もまた現代にでも通用しそうなすばらしい絵を遺しているのですが、その画号が葛飾応為(かつしかおうい)

父である北斎が、お栄を呼ぶときに「おーい」と呼んでいたためついた号だそうで、なんともまぁユニークです(^_^)

画号もユニークならその生き方もユニークで、北斎ともども超自由人で、片付けられない二人は引っ越しては汚し、汚れたらまた引っ越すを繰り返してたそうです。とにかくごみ溜めのような中で二人は絵を描き続けていたとのこと。

その才能はすばらしいもの
天才北斎が美人画を書かせたら応為にかなう者はいないと言わしめたほどの天才で、光の表現が秀逸で、また色彩感覚がずば抜けてて、当時の絵とは思えないほどの美しい画を残してるんです。
その一つが、吉原格子先之図 ↓↓↓

当時で、光と影をこんな風に表現されてるなんて、なんというかすごい。応為は北斎の助手をしていたこともあり、遺された作品は少ないのですが、その色使いや光の取り入れ方ものの捉え方は際立ってます。なのに、その評価は亜流としてのもの。画号のせいではなのでしょうが、もし画号がどうでもいいつけかたでなかったら、、、と思わずにいられません(余計なお世話ですけどね)
天才親子の合作

唐獅子は北斎、周りの牡丹は応為作
美しいです(*^^*)

16/1000

 

お届け後のこと。グラスと巾着袋

一度関わると、その後って気になるものですよね。
特にオーダーメイドはご依頼時から打ち合わせで何度もやり取りをすることも少なくなく、この品がどのようにお役に立てるのだろうか、、、とか、パーティで盛り上がるかなとか、例えばプロポーズだったら、これが縁結びになりますようにとか、いろいろとイメージを膨らませていきます。なので、手元を離れるとその後が気になって仕方がないのです。

もちろん、ご依頼時に、こんな風にするんだといったイメージを教えてくださる方もいらっしゃって、そんなときも妄想の世界に入ってしまいます(^_^;)

今回ご依頼くださった方は、その後の写真を送ってくださいました(*^^*)

親しい仲間内で、マイグラスのお揃いのご依頼で、写真の巾着袋は思い思いに好きな柄を選んでそろえられたそうです。グラスに彫刻した藤と鷹のマークに何となくぴったり(^^)v
このマークも仲間内のお名前からデザインを考えご入稿くださったものなんです。
全てがオリジナル!です

皆さんのお顔はわかりませんが、きっと笑顔でお酒を酌み交わしていることと思います。
ありがとうございました

酒盃

15/1000

国内最大級の二階二重門に行ってきました

昭和40年から始まった京都の非公開文化財の特別公開に足を運んでみました。
訪れたところは、知恩院三門

写真撮影が禁止されていて、記憶に残すしかありません。
なんと景観も含め写真撮影禁止というのは初めてです。
(もしかしたら、今までもそういう禁止の場所に訪れてたかもしれませんが)

■ 国宝
知恩院の三門は現存の木造建築として国内最大級の二階二重門です。14年には国宝に認定されてます。知恩院が広大な土地に建立されているので納得の大きさなのですが、門というよりこれそのものが仏閣といってもいいぐらい大きかったです。ただ、やはり門だけあって上層階へ上がる階段はせまくかなり急。足の悪い人にはつらそうでした。降りるときにロープにしがみついて少しづつ降りている人もいましたから。これも一種の修行なのかとふと頭をよぎりました。

■ 三門の意味
知恩院の「三門」は、「山門」ではなく三つの門と書きます。
これは仏教用語の「三解脱門」からきていて、涅槃に入るために通らなければならない門をあらわします。
とらえどころのないものに捕らわれない心を表す「空門」
姿や形に捕らわれない心を表す「無相門」
執着に捕らわれない心「無願門」

私に足りないものばかりではないですか…
たまたま祇園をどりを見に行くときについでに寄った三門は、己を知らしてくれる天の計らいだったのかもしれません

■重要文化財
通常は非公開の上層には宝冠釈迦牟尼仏像を中心に善財童子と須達長者、そして釈迦のお弟子さんたちである十六羅漢像が一面に安置されていています。大きく迫力満点で、十六羅漢像のそれぞれの力強い眼にしばらく静止。でも、すぐに解説が始まり、たっている人はいません(^^;)

上層階の中は所狭しと並んだ仏像だけではなく、天井や柱、壁などには飛龍、迦陵頻伽(かりょうびんが)や天女、麒麟、マカラがびっしりと極彩色で描かれてます。これらの作者は不詳ですが狩野派によるものだとか。描かれているものが水に関係するものばかりなのは、木造建築である三門の火害から護る意味をこめられているとのことでした。龍が描かれている寺院仏閣はとても多いのですが、この三門の龍が飛龍であるのは雨を降らせる意味があるからなのだと納得です。

また、麒麟は皆さんご存知のキリンビールのラベルのモデルで神仙思想における伝説の生き物です。マカラはそのお顔でわかるように、しゃちほこのモデルになったのだそうです。(写真が欲しいところです…)

これらの重要文化財は、普段は公開されていませんが、春と秋には重要文化財の一般公開があります(^^)

龍を彫るために、いろいろな龍のある所を訪れています。訪れるほどに、話を聞くほどに、とても意味深いものなのだと実感せずにはいられません。

13/1000

漆器【ジャパン】

陶磁器や磁器が「チャイナ」と呼ばれるように漆や漆器は海外では「ジャパン」と呼ばれ親しまれているようです。

先日訪れた古民家を改装した和レストランでは食器まで引継いでいて、素晴らしい器とともに料理を提供されてました。古い器には金継ぎのあとがあり、オーナー自らが金継ぎをされているとのこと。金継ぎをすることは、割れた器を補修するだけでなく、命をつないでいるように思えます。古い工芸品に金継ぎをすることで新たな工芸品として生まれ変わっているからです。

補修の観点から見てみます。
昔からある漆器は驚くほど強いのは、金継ぎにできるほどの接着力と何よりも日本でとれた漆が日本の風土に合ったものなのだからなのだと思います。

残念なことに現在では日本でとれる漆は希少でとても高価。5倍以上の値がついてるそうですよ。神社や仏閣などで主に使われていますが、市場に出回っている漆器のほとんどは多くが中国や東南アジアからの漆が使われているとのこと。

ところでって何なのでしょうか。
人は傷ができればカサブタができますが、樹木に傷がつくと傷口を固めるために出る樹液がカサブタの役割をしてくれます。それが「ウルシオール」という樹脂成分。日本で採取された漆にはウルシオールが多く、日本で使用するのにぴったりなんですね。ですので、金継ぎに使う漆も高価ではあるけど日本製のほうが良いというのはうなづけます。

さて、漆器金継ぎもほぼ同じ工程を重ねます。採取した漆液から不純物をろ過して取除いた『生漆(きうるし)』を使って擦り漆をします。生漆は透明な琥珀色ですが、これを塗ることで木地固めになるので、この状態のままで使用することもできます。私たちがよく目にする黒漆は生漆に鉄混入による酸化で光沢のある深い黒色が出来ます。その名の通り漆黒です。元が琥珀色のため純白はできませんが黒と純白以外は顔料を入れて色を作ります。

話を戻して、擦り漆で木地を固めたあと、錆漆付け、錆研ぎ、漆塗り、漆研ぎ、、と工程があり乾燥の時間も必要とするため時間がかかります。この乾燥は一般的な乾燥と違い、水分が蒸発して乾燥するのではなく、空気中の水分を取込んでウルシオールが固体化していくことを言います。なので70%ほどの湿度が必要で、梅雨期はとっても固まりやすい時なのです。

こんなふうにみていくと、何十年も前からの漆器って本当に貴重ですね。
ちなみに、漆器は熱や酸・アルカリには強いのですが紫外線に弱いです。直射日光の当たる窓際の食器棚の保管は避けたほうがよさそうです。

12/1000