カテゴリー別アーカイブ: 8.製作現場

彫るための道具

かなりマニアックなお話です。

ギフトを製作する際に文字入れをするにはサンドブラストという機械を使って彫ります。ガラスに彫るのは彫刻刀みたいな刃を使うのではなく、ちょうど川底で石が削られるように微細な砂に圧力をかけてガラスに当てるのです。砂は微細でとってもサラサラなものです。でも圧力をかけると、ガラスに穴が開くほど削れて行きます

圧力の効果を上げるため(だけじゃないけど)、砂の吹き出し口をすぼめたノズルを使います
それがコレ↓↓↓

こっちはノズルのみがたくさん

穴の大きさがまちまちなのは、削れてしまっているからです。
セラミックが使っているうちに徐々に削れて大きな穴になる。この穴が大きくなってしまったノズルはコレクションとして貯めているわけではありません(笑) 穴が大きいと圧力がかかりにくいのでふわっとした仕上がりができます。ということで、ガラス彫刻工芸の表現の時にいろいろと使い分けるために、とっているのです。

ただ、納期が迫っていると、差し替えるのが大変だったりで、距離や砂の量、圧力などで変えたりもします。
ちなみに穴が大きいのは

こんな感じの雪景色など、あまりラインを入れないふわっとした感じのものを表現するときに便利です
204/1000

細かい文字やデザインを彫刻するためのマスク製版

砂に圧力をかけてガラスに吹き付けるだけなのに小さな文字が彫れるのは、特殊なマスクのおかげです。そのマスクはこの製版機で作ります。

元となる原稿はOPP製の透明シートやトレーシングペーパーなどにカーボン(黒)でくっきり印刷したもの。その上に紫外線を当てると硬化する製版シートを置いて、下からブラックライトを当てます。そうすると、印刷された黒い部分にだけ紫外線が通らず製版シートにも反映されます。この製版シートをアルカリ液などで洗いだすと、紫外線が通ってない部分だけシートが溶け出し、空洞ができます。


ブラックライト点灯時


右上がトレーシングペーパーにカーボンで印刷した元原稿。
左下が製版して洗い出したシート

出来上がった青いシートの白い部分は空洞になっています。このシートをガラスに貼り付けて砂をかけるとブルーの部分には砂が当たらないので白い部分だけが彫れます(^^)v ガラス工芸のように段差をつけたり深く彫ったりすることはできませんが、細かい文字彫刻や平面のデザイン彫刻はこの方法でできます。

製版の方法はいろいろあります。製版だけを専門に請け負ってくださる会社もあって、数が多いとか、特殊なものの場合は、依頼することもあります

170/1000

制作前

彫る前のグラスたちの写真です。
この後、糊付けです

HPでもブログでも掲載している写真は、彫っている最中か、出来上がり写真ばかり。でも、意外に時間がかかっているのは彫る前の準備段階であったり、彫った後に洗浄したり検品したり、そして包装している時間なのです。

例えば、グラス側面程度に文字やデザインを彫る場合(工芸品じゃないもの)、彫るだけなら2~5分程です。ところが、それまでに彫るためのマスクを作る(版元のチェック+修正+製版)、そのマスクを貼るためにグラスの油分を取り糊を塗布、マスクをグラスに水平に貼る(湾曲あるものならカットしながら調整も)などでかなりの時間を要します。彫った後も洗浄、検品、包装でも時間がかかります。たくさんの工程を経るので数日をかけて作っているのです。

こういう工程を見学したいというお話をたま~にいただきます。学生さんかな?
時間に追われながら狭い現場で制作しているので難しいところですが、いつかそんな現場を作れたらなと思ってます
(製作している内容が個人情報も含むものが多いので、その点も方法を考える必要がありそう)

今は写真で少しづつアップしていきますね。

50/1000

作業道具

ガラスを彫刻するためには、いくつかの機械と
様々な小道具を使います。

そして、私には必要不可欠な作業道具
なんだかわかりますか?


ちょっと砂まみれで汚れていますね(^_^;)
私と同じぐらいか、それ以上の年齢の方だとすぐにわかるかな

ヘッドにセットするルーペです。
老眼鏡とは違って、2種類のレンズが拡大してくれるルーペなので、細かい作業の際には大いに役に立ち、若い時でも時折便利に使っていました。で、今はなくてはならない道具の一つです。

プロは道具を選ばないという言葉があります。確かに道具がなくてもプロの仕事は確かなのでしょうが、良いツールがあると格段に作業の精度が上がります。
道具であっても自分の分身のようなものなんですよね。なので、定期的にお手入れをするのです。
普段、掃除をしないしものを片付けない父が釣り道具と大工道具だけは丁寧にお手入れしていたことを思い出します。

それぞれの職業に従事されている方に、自分にとっての大切な道具を聞いてみたいところです(^^)

実は、何でも彫刻をしますよと銘打っていると、ほんとにいろんな彫刻依頼が来ます。
およそ私には想像つかないものばかりですが、それは手にされる方にとってはとっても大切なアイテムなのです。頭蓋骨、神経、安全靴、ヘルメット、はさみ、、、などなど

ここで、一つ事例のご紹介です

この写真のものは何か想像つきますか???
↓ ↓ ↓

工芸彫刻「ブレードティース」 
ヒントは、歯







正解は、ブレードティース

↓ こんな感じで、、、

歯を治す際にいれるパーツなのだそうです。金属感が表現できてますでしょうか?ガラスに彫るだけなので、金属感が出るかが難しいところ。表現するのに何度も試作したのを思い出します。

このご依頼は、歯の関係のお仕事をされているお父様への贈り物にご依頼いただいたもので、実物の3倍ほどの大きさに彫って、メッセージも入れて贈られたそうです。

ガラス素材は盾形のトロフィーをチョイス

長年、携わってきたものだけに、愛着もあるだろうし、
何よりも娘さんの思いが嬉しいだろうなと想像がつきます(*^^*)

4/1000