まことの花 -世阿弥の言葉より-

時分の花をまことの花と知る心が
真実の花になほ遠ざかる心なりけり

世阿弥「風姿花伝」

時分の花とは一時的なもの
世阿弥の語る花とは・・・
あらゆるものは自分自身の心でさえも徹底的に自然に従うことで、その時々の美しい姿を作り上げていく。それが「花」であると。花の原型となるのは、7~8歳ぐらいの子供がもつ自然な美しい姿。つぼみが開き、花が咲き誇り、散っていきますが、その散っていく姿にもその時の美しさが見られるなら、それこそが「まことの花」といえるのだそうです。

若さが作り出す花は、一時的なものにすぎません。そのことを知らずして「まことの花」だと思い込んでいると、自然に従うことを忘れるということです

こころは、思っている以上に皮肉れ者
相手の言葉を素直に受け取れなかったり、自分の気持ちを押し殺して思ってもないことを言ってしまったり。それもまた自然の成り行きなのかもしれませんが、心にフタをしていればまことの花はいつまでたっても咲かせることができないですね。まことの花は最後に割かせるものではなく、折々にあわせ咲かせるもの。日々を大切に自然のままに生きていきたいものです

333/1000